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のむかむ

 食事の際よく噛んで食べなさいと教わった。教わったけれども、あまり実行に移したことがなかった。第一そう教えた方も、ろくすっぽ噛んでいないのだから、お互いさまである。周囲を見渡しても、あまり噛むことにこだわっている人はいなさそうだ。

 このように、多くの人はほとんど噛まない。ぼくも長いことそうだった。しかし、最近ちょっと食べ過ぎのきらいがあって、量を減らさねばならないという気になったとき、思い出したのがよく噛むということであった。一回に五六十回噛めば、少しの量でも長い時間かけなくてはならない。そうすれば、相対的に量が減ることになる。

 実行し始めてみると、案外具合がいいということが分かってきた。噛むことによって唾液と十分混ざり合い、消化の半ばをすでに終わっていることになるので、胃腸への負担が少ないのである。ある人がインドで、あまり清潔でない水を飲まされたとき、よく噛んで飲めと教わり、事なきを得たという話がある。

 そう言えば、昔牛乳を噛んで飲めと言われたことがある。そうすれば腹を壊さないからと。前にも書いたが、牛乳の原料は牛の血液で、人間にとっては基本的には毒である。これを無害化するために、よく噛んで唾液と十分に混ぜ合わせれば、毒性がかなり解消されるのである。

 噛めばいいのである。ぼくはこれまで、身体にいいとされるものを食べる方が、健康のために効果的だと思っていた。しかし、本当の問題は何を食べるかではなく、どう食べるかだったのである。誰かのキャッチフレーズではないけれど、「噛めば命の泉湧く」のである。

 ところで、今日駅のホームにいたら、待合室でおにぎりを食べているおねえさんがいた。見るともなく見ていると、その食べ方が異様に早く感じられ、これは「食べて」いるのではなく、「呑んで」いるのではないか、と思った。蛇が蛙を呑むような印象である。

 ぼく自身これまで長いことそういう呑む食べ方をしていたので、その身体感覚は残っているが、これからは徐々に噛む食べ方に変えていきたいと思っている。だから今では水も噛んでいる。ただ冷たい麦茶や、ソーダ水はどうしてもつるっと飲みたくなるので、噛みにくい。

風海

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