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鉄棒の上を歩く

 このごろぼくは、安らいだ広い心の源泉は、バランスにあるのではないか、という仮説を立ててみた。そうして、バランスをとる練習を始めたのである(バランスの意義については、いつかまた言及したい)。

 柔術家のヒクソン・グレイシーさん(「400戦無敗」という有名なキャッチフレーズは、プロレスラーの佐山さんが勝手につけたものだそうである)が、鉄棒の上を歩いていた、という話をどこかで聞いたことがある。その時は、へーと言ったきり興味を持たなかったのだが、自分がバランスに関心を持ってみると、俄かにその話を思い出し、やってみようという気になった。

 幸い、マンションの自転車置き場に、格好の車止めがあった。地上三十センチくらいで、落ちても大丈夫だし、丸さが太いので、比較的楽に乗っていられる。とはいえ、丸い不安定なところに乗って、なおかつ歩くのは至難の技で、現在止まって安定する練習をしている。

 そうやって稽古をしていると、マンションの住人の方々がやってきて、時折ぎょっとした顔でこちらを見られることがある。「こんにちわ」と明るく声をかけるのだが、眼を合わせないように通り過ぎる人もいる。

 しかし、中には興味を持つ人もいて、あるおばさんは、皆まで説明する前に面白がり、自分から鉄棒に上って、「身近なところで練習できていいね」と言われた。

 こんなことばかりやっていると、「小人閑居為不善」と評されそうであるが、はたして不善であったかどうか、これからのちに判明するはずである。

    風海

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