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ZAZ、軽快なシャンソン

 過日、友人エス氏とエヌ市で一杯飲んだ折(注1:飲んだのはコーヒーだった)、大型商業施設NG(注2:通称「デンズ」)へ行き、CD屋さんに立ち寄った。エス氏が気になる歌手がいるということで、そのアルバムを探しに行ったのである。

 誰だか訪いてみると、「ZAZ(ザーズと発音する)」だという。その名はぼくも聞いたことがあった。クラシックの教養を身に付けた後、何を思ったか流行歌に転じ、パリの町で辻歌いをしていたのを見出されたという。その歌声が、故エディット・ピアフにそっくりだというので、最近とみに評判をとっているらしい。そういう情報は得ていたから興味はあった。

 ところで、ぼくは歌は流行歌なら、あまりノタっとしたのは好きじゃない。CD屋で、近くの棚にシャキーラが置いてあり、シャキーラならこの数年来愛聴している。その歌は声をひっくり返して激しく叫ぶように歌い、テンポは速くてビートが効いている。こういうのを、四股をするときなどにかけていると、リズムに身体を動かされる感じがして、心地よいのである。 

 しかるに、シャンソンというのは、大体しっとりした曲調が多いような印象であった。エディット・ピアフも、持ち歌は速いテンポのものは少ないように思う。「パダン」等は早い方だが(映画『エディット・ピアフ』で、体調を崩したピアフがオーケストラを前にして、「パダン」を歌い始めた途端、バタンと倒れてしまったのは、エスプリの利いた場面であった)、どっちかといえば哀調のまさった、ハスキーな声を存分に利用したような歌が多かったように思われる。

 だから、ピアフの再来と言われるザーズも、そういった曲を歌っているのだとばかり思って、購入を躊躇し、シャキーラなら間違いはないだろうと判断して、こちらを買ってしまったのである。エス氏は、シャンソンはしっとりしたものだから、そういうのがいいと言って、所期の目的通り、ザーズのアルバム『モンマルトルからのラブレター』を購入していた。

 その後少し経って、何となくザーズのことが気になり始めた。理由もなく、そのCDのことが思い浮かび、なんだか買わなくてはいけないような気がしてきたのである。こういう予感には従っておいた方が後悔しなくて済むと思って、先日思いきって再びCD屋を訪れた。

 家に帰ってかけてみると、はじめ澄み切ったオルゴールの音がして、そのあと、急にテンポの速いメロディーが流れ始めた。その曲は完全にぼく好みの歌であり、アルバム全体を通じて不満に思うような歌は全くなかった。ぼくは大いに喜んだ。しかし、逆にしっとりした曲の方が少なくて、エス氏はがっかりしたのではないかと、今少しく心配しているのである。

       風海

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宇則齋志林」カテゴリの記事

コメント

いやいや、ぼくもZAZを楽しんでいますよ。あれくらいのテンポの曲も、結構好きです。1曲目の出だしのオルゴール、きれいな音ですね。Amazon(fr)での評価も概ね高いようです。低い評価のコメントを読むと、詞が気に入らない点で一致しています。今度、ZAZの詞を一緒に訳しながら読んでみませんか。
PS
『エディト・ピアフ』が「パダン」を歌って「バタン」ですか・・・無意識的にエスプリ発揮されているあたり、やはりあの映画は名作なのでしょうね。

投稿: エス | 2011年5月31日 (火) 11時33分

ぼくも、歌詞が気になっていましたので、よろしくお願いします。ところどころ聞き取れる(3%程度)のですが、やはり全体的に何を言っているのか知りたいところです。来日したら、聴きに行きたいものですね。
 
 映画『エディット・ピアフ』を制作した脚本家か監督は、現代思想の物語論等をずいぶん勉強している人ではないかと推察します。あるいは、もしかしたらあのテンポというか展開の仕方自体が、フランス人の血脈なのかも知れませんが。

投稿: 宇則斎 | 2011年5月31日 (火) 22時25分

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