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久木のもり その③

 離れがたくて、まだ「かむなびの杜」の前にいる。
 オーブのような円いものが、木の梢からいっせいに空へと舞い上がってゆく、幻想的な画面のなかには、さらに小さな木々や植物、鳥たち、星と月、波間をはしる舟の舳先、弓を引く人、騎馬隊などが描きこまれている。
 久木さんの、すべての絵に共通することだが、この作品は特に上へ上へと伸びあがってゆくエネルギーが強い。あふれんばかりの生命の合唱、すなわち宇宙の歌声が聞こえてくる。

 この絵はほかに様々な象徴に満ちているのだが、中央やや左上に描かれた、扉の鍵穴のようなものが目を惹く。あれはいったい何だろうか。オレンジ色、金色を基調とした画面の構成要素が、すべて渾然となって光の中に溶けてゆくなか、この扉だけが妙にくっきりと浮かび上がってくるのである。

 眺めているうちに、下から伸びあがる木々の幹が、鍵そのもののように見えてきた。このうちのどれかが、そこにぴったりとはまるのかもしれない。
 すると、その扉が開いたあとに広がるのは、どんな世界なのだろう。

       風海 

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