« 口上 | トップページ | 聖地見物 序 »

西宮戎のたいやき

(拍子木)
黒子: 東西~
      「西宮戎邂逅鯛焼(えべっさんおうせのたいやき)」
       戎神社境内の段。あい勤めまする太夫、竹本海太夫、
     三味線、鶴沢禿丸。
    東西~
(拍子木)

Dscn5574_3♪茅渟(ちぬ)の海の藻に照る月影の~
さてここは西宮のえべっさん。
今日は十日戎です。

空: さすが、えべっさん。人が多いね。
   毎年来てるけど入場制限は初めてや。
   日曜日の夕方やからかな。

風: うん。屋台もたくさん出ててすごいね。
   広島焼き、身代わりひょうたん、ケバブ、ポテトルネード…。
    あそこのたいやき屋は面白いよ。
空: へえー。たいやきでお店をデコレーションしてるんだ。

――と見れば、たいやきがひもでつるされぶらさがり、鯛で客釣る。
客を呼ぶのは商売繁昌、えびす様の福の笹。本殿前には竹に
松の逆さ門松。
人波にもまれ、流され二人はようやく参拝を終え―
本殿の西側に、

風: これは何?鯛がぶらさがってるよ。
空: 御掛鯛だよ。面白いでしょ。干した鯛を二匹ずつ縄でつるし
   て奉納するんだって。
   江戸時代の文化5年(1908年)に兵庫津の塩物問屋から
   奉献があったのが始まりらしいよ。
風: さっきのたいやき屋のデコレーションに似てるな。これを
   真似たのかね。
   あのたいやき屋に行ってみよう。

――さて、最前のたいやき屋。亭主はたいやきを朱に染めて、
お飾り造りの真最中。

風: すみません。
   たいやきの飾りは、御掛鯛を真似たんですよね。
亭: おかけだい?何だいそれは。
空: 西宮神社に奉納されている干鯛が、これにそっくりなんです。
亭: それは知らんかった。また後で見に行くわ。

――何たる偶然。これも西宮戎のなせる技。

鯛と言えば西宮とは、『阿弥陀池』でも「西宮をかわした」とか
言う地口(じぐち)。
そもそも西宮の御前澳(おまえのおき)で蛭子三郎が釣り初めて、
世間で食べるようになったとは、名所図会の伝えるところ。
今の「たい」はクリーム、小豆、抹茶にきなこと甘口なれど、
恵比須まわしの鯛釣りが、鉄板の上で焼かれて鯛になる。
西宮、戎、たいやきの不思議なご縁なり。

                     空味

|
|

« 口上 | トップページ | 聖地見物 序 »

聖地見物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1321750/32983934

この記事へのトラックバック一覧です: 西宮戎のたいやき:

« 口上 | トップページ | 聖地見物 序 »